波多野内科クリニック 浦安市,入船 内科, 消化器内科, 循環器内科

メタボリックシンドローム

 

1.どんな病気

 過栄養や運動不足等の生活習慣病の乱れにより、内臓脂肪型肥満とインスリン抵抗性*を背景として高血糖、高血圧、高脂血症などの病気が重なると、動脈硬化を促進し、心疾患や脳血管障害などをもたらす危険性が高くなります。これらの生活習慣病発症予防を目的として、平成17年4月、日本内科学会を中心にメタボリックシンドロームの診断基準や治療法が定められました。

2.診断基準

 内臓脂肪肥満を必須条件とし、危険因子とされる「高血糖、高血圧、脂質異常症」のいづれか2つ合併する場合をメタボリックシンドロームと診断。1つならその予備軍としています。肥満に加えて2つ以上の危険因子が重なると、心疾患の発症危険度は36倍になると言われています。

3.内臓脂肪とは?

 肥満には、女性に多い「皮下脂肪タイプ」と、中年男性に多い腹部の腸間膜や肝臓に脂肪がたまる「内臓脂肪タイプ」があります。内臓脂肪が多いかどうかは体重でなく腹囲(へそ回り)により判断します。
  脂肪細胞は単なる余剰エネルギーの貯蔵庫としてだけでなく、多くの生理活性物質(健康な生活を過ごすために必要なもので、脂肪細胞が分泌しているものを「アディポサイトカイン」といいます)を分泌する内分泌臓器としての役目を果たしています。本来、脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉アディポサイトカインをより多く分泌し、体脂肪が増えないよう正常に保ち、動脈硬化や心臓病などの抑制に役だっていますが、内臓脂肪が増加かつ肥大化すると悪玉アディポサイトカインの分泌が増えます。その結果、インスリン抵抗性が高まり、高インスリン血症をきたすことで、腎臓でのナトリウムの貯留、交換神経の働きが強くなることにより高血圧を発症し、動脈硬化などの異常を起こす引き金となります。

4.予防・治療法

 まずは早期「発見、診断、治療」が大事です。特定健診などの定期健診を受け、自分の健康状態をよく把握し、おへその位置での腹囲の測定、毎日の体重測定・体重管理を心掛ける必要があります。お酒やタバコを控えるなど生活習慣の改善に努め、食生活では、動物性脂肪を控え、食物繊維を多くとり、塩分や糖分の取りすぎに注意して下さい。
  適度な運動として1日20分~30分の有酸素運動を行い、摂取エネルギーよりもオーバーしないような生活を心がかえることが大切です。それでも改善しない場合は薬による治療も必要になります。

*インスリン抵抗性
インスリンは血糖を下げるホルモン。遺伝や運動不足、肥満、食生活の変化による影響や、内臓脂肪肥満によってもたらされるアディボサイトカインの機能と生産調節の破綻により、インスリンの濃度に見合った血糖値を下げる作用が得られない状態をインスリン抵抗性といいます。