波多野内科クリニック 浦安市,入船 内科, 消化器内科, 循環器内科

高血圧

 

高血圧について

1.どんな病気

 血圧とは、血液が動脈の壁に加える圧力ですが、通常は上腕動脈で測定した血圧値を指標にしています。
そして、血圧には最高血圧(収縮期血圧)と最低血圧(拡張期血圧)とがあります。心臓は収縮、拡張という運動を 繰り返していますが、心臓が収縮して血液を全身に送り出すときが最も高く、最高血圧といい、全身の血液が心臓に戻り心臓が拡張したときの血圧が 最も低く最低血圧といいます。健康な人の正常の血圧は、最高血圧130未満かつ最低血圧85未満です。(単位はmm水銀柱)。最高血圧が140以上または最低 血圧が90以上を高血圧とし、両者の中間は正常高値と判定されます。
  高血圧症の原因としては、腎臓の病気やある種のホルモン異常がありますが、90%以上は原因不明の高血圧であり、これを本態性高血圧症と呼んでいます。高血圧状態が長くと動脈硬化が進行し、脳卒中、心臓病、腎不全、などの合併症を起こしてしまいます。従って、高血圧症を治療管理する目的は、 血圧を適正に調節することによってこれらの合併症を予防し、病変の進展を防ぐことにあります。そのためには、できるだけ早期に治療を開始することが肝心です。
  治療の基本は、塩分を控え、日常生活における食事、運動、睡眠、喫煙、などの生活習慣を改善することです。医師の指示に従って降圧薬を服用する必要があります。
 

高血圧の基礎

1.血圧の測定方法

①1日2回測定(朝、夕)


・排尿後
・起床後1時間以内
・朝食の前
・薬を飲む前

・寝る直前
・入浴や飲酒の直後は避けて下さい。
・夕食前(飲酒、食後の入浴にする場合)

②カフは心臓と同じ高さで測定します。

2.高血圧症の診断基準

白衣高血圧: 家庭血圧が正常なのに、外来血圧が高くなるタイプです。緊張によるストレスのためと考えられています。
仮面高血圧: 白衣高血圧とは反対に、昼間に測る外来血圧は正常で朝や夜に自分で測ると高血圧になります。
糖尿病、高脂血症、肥満などがあると、心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる病気を発症しやすくなります。

 

3.本態性高血圧症と二次性高血圧症

①本態性高血圧

特定の原因がなく、遺伝や環境によって高血圧になる場合で、患者の97%~98%が本態性高血圧症と考えられています。
原因:遺伝因子
環境因子:加齢、塩分摂取の過剰、肥満、運動不足、ストレス、性格、気温

②二次性高血圧症

ある特定の、単一の病気により高血圧を起こす場合を二次性高血圧、または続発性高血圧と呼びます。

原因: 腎実質性高血圧(慢性系球体腎炎、糖尿病性腎症、多発性嚢胞腎、腎動脈硬化など)
内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、褐色細胞腫、レニン産生腫瘍など)
薬物誘発性高血圧(グリチルリチン製剤、漢方薬、糖質コルチコイド、など)


4.高血圧症の合併症

  • ①脳血管障害(脳出血、脳梗塞)
  • ②心疾患(冠動脈疾患、心不全、心肥大)、
  • ③腎疾患(腎硬化症、腎不全)
  • ④血管疾患(大動脈瘤、動脈硬化性末梢動脈閉鎖症)

5.高血圧症の検査と診断

 

6.高血圧の治療

①塩分制限

  血圧が上がるメカニズムには、塩分(ナトリウム)の過剰摂取が深くかかわっています。食事からとった塩分は、ナトリウムとして 血中に入り、余分なナトリウムは尿とともに排泄されます。しかし、塩分をとりすぎ血液中のナトリウムの濃度が高まると、血中濃度を一定に保つために血管内に水分が引き込まれます。従がって、のどが渇いて水分を多くとるようになります。その結果血液中の水分が増え、血圧が上昇します。また、ナトリウムを過剰に摂取すると血圧をコントロールする交換神経を興奮させ、 血圧が高くなります。
  日本人が1日に接種している食塩は、10gを超えていますが、高血圧がある人の食塩摂取量の目標は、6g未満です。減塩1g/日ごとに 収縮期血圧が1mmHg減少するという報告もあります。

②野菜、果物の摂取

  緑黄色野菜や果物、海藻類、いも類などに多く含まれているカリウムには、体内のナトリウム排泄を促し、血圧の上昇を防ぐ働きがあります。またマグネシウムなどのミネラルには、血圧を下げる効果があります。

③肥満の改善

  肥満があると、血圧を上げる交換神経の働きが活発になります。また内臓脂肪の増加により、アンジオテンシノゲーンの増加と、 インスリンの働きの低下によって血液量が増え、血管が収縮して、血圧が上昇します。高度肥満では蛋白尿と腎機能低下の原因になるといわれます。そのため肥満がある人は、血圧が上がりやすくなるのです。また内臓脂肪が増えると、内臓脂肪から分泌される アンギオテンシノーゲン(血圧を上げる物質)が増えます。また、内臓脂肪の蓄積でインスリンの抵抗性が高まり(インスリンの働きが低下)、 血液中のナトリウムの排泄が阻害されて血液の量が増え、更に交換神経が刺激されて血管が収縮します。
  肥満の改善には、食事などから接種するエネルギー量を、消費するエネルギーより少なくします。それには腹8分目にすることが大切です。お腹一杯食べている限り、体重が増えることがあっても減ることがはないでしょう。そのほかに、間食、動物性脂肪、糖質、 揚げ物、アルコールを控え、食物繊維を充分に摂取する必要があります。

④運動

  運動は末梢血管抵抗を改善し血圧を下げるだけでなく、動脈硬化の予防、肥満の解消、糖尿病の予防などの効果があります。
  運動不足の改善には、脈がふだんより少し速くなるくらいのスピードのウォーキングを、1日30分を目標に行うのがよいでしょう。激しすぎる運動は、血圧にも心臓にもよくありません。適度な強さの運動を心がけましょう。

⑤節酒

  アルコールは、血管を拡張させる作用があるので、お酒を飲んだ直後は、血圧が下がるのが普通です。しかし、酔いがさめるころには血管が収縮してお酒を飲んだ翌朝の血圧は、むしろ上昇しています。アルコールは、 肝臓にも悪影響を及ぼすことがありますので、ほどほどの量にとどめることが重要です。飲酒の適量は、1日ビールなら大瓶一本、 日本酒なら1合までウイスキーならダブル1杯までがめやすになります。

⑥禁煙

  タバコを吸うと血管が収縮して血圧が上昇します。また、喫煙は、肺がん、心筋梗塞、脳卒中などの病気を引き起こす危険性があります。 従って、これらの危険性を高める喫煙を避けるべきです。

⑦ストレス解消

  職場における精神的ストレス、家庭でのストレスなどが血圧上昇の原因になることがあります。ストレスをためないように、ストレス解消を心がけることが大事です。

⑧睡眠

  睡眠不足、睡眠時無呼吸症候群があると血圧が上昇します。肥満がある人は、睡眠時無呼吸症候群に注意が必要です。

⑨薬物療法

  高血圧と診断され、生活習慣の改善によって十分な効果が見られない場合は、薬物療法が行われます。降圧薬は、異なる作用のものが いくつかあります。血圧のお薬は、きちんと飲むだけでなく、薬の効果や、血圧のコントロールの状態をよく確認することが大切です。できれば、自宅でも血圧を測定し、1日の血圧の変動を把握することも必要です。自分で勝手に薬をやめることは大変危険です。主治医の指示に従ってきちんと服用してください。